【爆発】
液体窒素は-196℃で沸騰して気化します。
断熱容器に保管していても完全な断熱は出来ないため容器の中では絶えず蒸発し続けて、液体が気化すると窒素の場合体積が約700倍に膨張します。
液体窒素のたまっている容器を密閉すると蒸発した窒素ガスが行き場を失い圧縮されるので、やがてとんでもない高圧に達して、
このため高圧に耐え切れず容器が破裂します。
ですから容器は絶対に密閉してはいけません。
容器をぶつけたり損傷を与えたりすると断熱真空層が壊れる事があるので、その場合、熱が逃げるため霜が付着しやすくなります。
容器口に付いた氷が成長して容器口をふさいでしまい密閉状態を作り出す事も考えられるので容器は丁寧に扱いましょう。
密閉してはいけませんが開放し過ぎもいけません。
必ず蓋をかぶせてください。あまりに大気に触れすぎると大気中の酸素(窒素より少し沸点が高い;-183℃)が液面で冷却され液化します。
やがて液体窒素が液体酸素に置換されてしまいます。
液体酸素は非常に不安定で有機物に反応して爆発します。
液体窒素とは比較にならないほど危険です。液体酸素は淡い青色です。青みがかっていたら絶対に使用しないでください。
【窒息】
酸素濃度と症状 |
|
酸素濃度 |
人間の症状 |
18% |
安全の下限界、連続した喚起が必要 |
16% |
呼吸数増加、脈拍数増加、頭痛、吐き気 |
12% |
めまい、吐き気、筋力低下;行動の自由がきかない |
10% |
中枢神経障害、意識喪失、嘔吐 |
8% |
失神昏倒、死亡 |
6% |
即失神、心肺停止、短時間で死亡 |
室内にて液体窒素が大量にこぼれた場合、急速に蒸発した窒素が空気を押しのけ(前述のとおり体積が約700倍に膨張)酸素濃度を下げます。
酸欠を認識したときは既に手遅れな場合が多いです。それは極低温であるが故に急激に蒸発膨張する速度のためです。
徐々に酸素濃度が低下していく場合は頭痛、めまいなどで気が付くきっかけはありますが大量の低温寒剤の場合は気が付くことができません。
酸欠で倒れます。
窒素は無色透明で無味無臭なため充満に気が付くのは困難ですので、換気は必ず行ってください。
息を止めても我慢できるのと低酸素濃度の空気を呼吸するのとは全く違います。
濃度によっては一呼吸で倒れます。
実験室で人が倒れていた場合、助けに行きたくなりますが下手に入室すると本人も酸欠で倒れかねません。
救助の時は冷静に判断してください。
エレベーターでの運搬について
寒剤(液体窒素、液体ヘリウムなど)はできる限り、階段にて運搬してください。
エレベーターでの運搬は酸欠事故を防ぐため同乗厳禁です。
容器のみでの移動となります。
地震、停電、故障などの理由によりエレベーターに閉じ込められるケースが考えられるからです。
運搬方法
①出発階で一人が容器のみを乗せて出発させる
②目的階でもう一人が容器を降ろす
途中から低温寒剤の知識のない方が同乗するのを防止するため『同乗しない旨を掲示する』必要があります。
無人輸送中の容器の固定を確実に行い、エレベーターの混み合う時間帯を避ける等ご配慮もお願いいたします。 ※なおエレベーターでの寒剤容器と人が同乗禁止であることに関しまして「これは法律(高圧ガス保安法)で定められているのか?」「守らないと罰せられるのか?」という疑問がでますが、これは法律で定められておりませんし、守らなくても罰せられません(2013年現在日本では)。
利用者側から危険を回避するために考え出された方法です。命に関わることですので「罰せられないから守らなくても平気」ということではいけません。
【凍傷】
少量の液体窒素が人体にかかった場合、皮膚表面で体温によって蒸発し直接液が触れることは避けられます。
手に液体窒素をかけてる動画、、、(液体がかかる前に気体に変わって火傷していません)↓↓↓
もちろん大量の液の場合は凍傷になります。液中に手などを入れる行為は絶対にしないでください。
液体窒素により冷却された金属等に触れる場合は必ず革手袋をしてください。
軍手は使用しないでください。万一液がかかった場合染み込み、液を滞留させるので非常に危険です。
また気化したばかりの極低温の冷気を素通りさせます。衣類も同様なのでかからないように細心の注意を払って扱ってください。
かかった場合は素早く払い落としてください。
革手袋はきついものではなくゆるいものを使用してください。(液体窒素が裾から中に入り込んだ時にすぐに脱ぎ捨てられるようにするためです。)
靴下にサンダル履きやズボンの裾を折り曲げるのも好ましくありません。
液化気体を少量(100リットル以下)、個人で運搬・消費をする場合、高圧ガス関連の資格保持や講習受講は必要になるのでしょうか?
ここでの液化気体は、具体的に、液化炭酸ガス・液体窒素・液体ヘリウムです。また運搬は少量ですので、専用容器を自動車に積み込む形です。
これらの気化気体は高濃度の場合の窒息の危険性はあれど、可燃性の問題もないと思われるのですが、
結論から、法的資格は不要です。
高圧ガスを移動する場合には、
(1)高圧ガス製造保安責任者(但し、冷凍以外)
(2)高圧ガス移動監視者
いづれかの資格が必要です。
資格が必要な数量は、
今回の場合、液化ガスですので、
・質量3,000kg以上の可燃性ガス、LPガス、酸素
・質量1,000kg以上の毒性ガス
が、規制対象です。
・液化炭酸ガス(100L≒103kg)
・液体窒素(100L≒80kg)
・液体ヘリウム(100L≒12kg)
は、規制ガスの対象外になります。
少量ですが、液化ガスが気化すると膨大な量の気体になります。
・液化炭酸ガス(100L≒52立米)
・液体窒素(100L≒65立米)
・液体ヘリウム(100L≒70立米)
換気の良い状態を、常に保った状態で、運搬してください。
酸欠事故に注意しましょう。
尚、神奈川県下を、高圧ガスを積載した車両で、運行する場合は、神奈川県独自の規則により、資格(講習を受ければOK、修了試験無し)
が必要です。
資格がなくても、罰則はありません。