液体窒素は誤った用い方をすると重大な事故を引き起こしかねない危険なものです。正しい用い方を日頃より心がけましょう。
液体窒素とは、窒素ガスを液体に ( 液化 ) したもので、大気圧中の沸点が非常に低いためマイナス196度と物凄く冷たいのです。
液体窒素を取り扱うのに市提言必要なものは
・液体窒素容器、
・革の手袋
–液体窒素の安全な汲み方–
1. 液体窒素の汲み出し口が屋内にある時は、必ず換気しながら汲み込む事。
これは、例えば液体窒素 10 リットルが室温 ( 仮に 25 ℃ とする ) で蒸発すると約 7052 リットル ( 約 7 立方メートル ) もの気体になり、空気中の酸素 ( ~21 % ) を置換する為、窒息の可能性があるからです。と、言っても屋外にある時は気にしなくても良いそうだ。
2. 液体窒素を溜める容器は、容器内の温度を一定に保つ ( 保温する ) 為、魔法瓶構造のなるだけ専用のものを使用する事。
もし、普通の容器に液体窒素を溜めようとしても全然溜まらないか、例え溜まったとしてもあっという間に蒸発してしまったりと、
調子が悪い。それと、急に液体窒素がなくなるので、容器の容量も充分に余裕のあるものを使用する事。
3. 液体窒素の汲み込みは、汲み始める前に革の手袋をはめて行う事。
この時、軍手は凍傷の危険があるので使用しない事。
4. 液体窒素の移送管 ( トランスファーチューブ ) の先を可能な限り容器の底まで入れる事。
「冷却は下から」 (a) ○良い , (b) ×ダメ
図 ( b ) みたいに容器のネックの所までしか入れないと、容器液溜部分に発生する内圧で殆どの液体が吹き返され、なかなか液体窒素を容器内に溜める事が出来ない。
10 リットル容器の場合、通常 2 ~ 3 分で満杯まで入れる事ができるけど、( b ) の様な状態でなおかつ早く溜めようとバルブを全開にして汲み始めると、それこそ永久に液体窒素を溜める事は出来ない場合もある。
5. 液体窒素を汲み出す時は、最初少しずつ。液体がたまりだしたら出していく。
液体窒素容器の内部が充分冷えるまではゆっくりと冷却してやり、容器が液体窒素の温度まで冷えた ( 液体が溜まり始めた ) 時点でやっとバルブをさらに開いてある程度のスピードで汲み出すと言う事。
溜まり始めているのに少しずつ出しているままだと、今度は配管内での液体窒素のロスが増えて、なかなか満杯まで溜まらないし、バルブを閉めたり開けたりの繰り返しも、閉める度に液切れを起こし効率が悪くなるので、一旦開けたなら満杯まで連続して流し続ける必要がある。
最初から勢い良く入れると上記「4.」のような状況になりかねないし、チョロチョロ出しっぱなしのままでもバルブを閉めてもだめで、一見むつかしそうだけど、要領さえ覚えれば、簡単に汲める。
汲み出し中は絶対にその場から離れてはいけない。溢れさせたまま、怖くて逃げ出すのはもってのほか。
6. 液体窒素が容器から溢れたら、速やかにバルブを閉じる事。
良く首部の上ギリギリの所まで液を入れようと、長時間四苦八苦している人がいるんだけど、この部分に液を溜めるのは無駄であるばかりか、容器の構造上もこの部分は弱いので長時間冷し続けるのは良くない。
液体窒素 ( 臨界温度 125.98 K ) は、臨界温度以上では液体として存在出来ないので、常温でも安定に液体で存在出来る物質 ( 例えば水 ) の様にはいかない。
7. 汲み出しが終わったら、必ず容器付属の専用キャップを被せておく事。
これは案外疎かになりがちだけど、重要な事。
もし容器にフタ ( キャップ ) をしないで放っておくと、液体窒素が、いつのまにか液体空気に変ってしまう。
悪い事には、液体窒素中に空気中の水分が凝縮してそれが氷るため、液体の中にその氷の微粒子が対流し雪が降っている様な真っ白な状態になるそうだ。実験の種類によっては、これらの事が重要な問題となる場合もあるので、充分気を付ける事。
8. 容器は決して密閉してはならない。
例えば専用の液体窒素容器を使用している場合は、キャップが付属しているのでそれを使えば密閉される事はないけれど、
市販されている通常の断熱容器の中には密閉出来るものもある。
そのような容器に液体窒素を汲み込み、誤って密閉してしまったような場合、最悪では容器が爆発する危険性がある。
これは、液体窒素は通常外部からの熱侵入で自然蒸発し続けているんだけど、蒸発したガスの逃げ場がない為、容器内の圧力がどんどん上昇し、容器事態の耐圧を超えると遂には爆発すると言う事なんだ。
「密閉すると危険!」と覚えておく事。
以上が、液体窒素の汲み出し要領なんだ。上記手順をしっかり守ってさえいれば、案外簡単に出来ます。この手順は覚えておきましょう。